「びまん皮膚硬化型全身性強皮症」では発症5~6年以内に皮膚硬化の進行および内臓病変が出現してきます(全身性強皮症(指定難病51)ー難病情報センター)。症状の重さや長さには個人差がありますが、私の場合を紹介します。
1~2年後(発症から診断まで)
症状が出現し始めたのが14歳くらいのときでしたので、14歳発症とします。その頃は以下の症状が出ていました
- 手指の乾燥がひどく、バレーボールのパスをしているとすぐに皮膚と爪の間から出血してしまう(バレーボール部に所属していました)
- 全体的に体力や身体能力が落ちてきている感覚
- 朝起きると手がこわばっていて動かしづらい
異変を感じ始めていたので市立病院の小児科に通うことになりました。特に治療することはなく、症状に変化がないかを定期的に確認しているような感じでした。
15歳くらいになると、以下の症状が増えてきました。
- 明らかに体力がなくなってきて、長距離走をするとダントツで遅い
- 手指の付け根の関節がどこかにぶつかってしまうとすぐに傷になり、治りが非常に遅い
- 寒いところにいると指先が白色あるいは紫色に変色し感覚がなくなる(レイノー現象)
引退までバレーボール部に所属していましたが、この頃にはフルで試合に出ることは難しくなっていました。
3~5年後(診断後)
中学校卒業のときに「全身性強皮症」との診断がつきました。症状が出た頃である14歳を発症とすると、この時点で発症から2年くらい経っています。
これまでと症状は変わりがありませんでしたが、高校2年生のときに異常が見つかりました。健康診断でたんぱく尿が出ていることが分かったのです。
まずは病院で再検査しなければならないので、強皮症を診察していただいている病院に相談したところ、入院にて腎生検することになりました。腎生検とは腎臓の組織の一部を採取して、顕微鏡で評価する検査です。人生で2回目の入院となりました。腎生検の結果、「膜性腎症」という診断を受けました。
ネットで調べたところ、強皮症の合併症で膜性腎症になることがあるようです。自覚症状は特にありませんでした。
入院してステロイドという薬を服用し、数か月で退院することができましたが、ステロイドを服用するとすぐにやめることができず段階的に薬の量を減らしていかなければなりません。また、副作用も多く、思春期の私にはつらいこともありました。
いつからか忘れてしまいましたが、この頃には「毛細血管拡張」という症状も現れていました。毛細血管拡張とは、何らかの原因で細い血管が皮膚の上から透けて見えるようになる症状です。顔や腕、デコルテに赤い斑点や青く浮き出た血管が見られるようになり、これも思春期の私にはつらい出来事でした。
「逆流性食道炎」という消化管の症状も見られるようになりました。食べ過ぎた際などに横になると胃液のようなものが逆流してきます。口から出てこないように抑えるのですが、逆流は止まらず鼻から出てきてしまいます。高校の部活の合宿の際にその逆流が起こってしまって、今でも仲間からいじられます。(笑)
6年後
発症から6年を経過しても症状は相変わらずでした。
- 皮膚の乾燥や硬化、毛細血管拡張、逆流性食道炎は常に症状が出ていました。
- 体力は発症前には戻ることはなかったので落ちたままです。
- 寒い時期になると指先が白あるいは紫色に変色し感覚がなくなる(レイノー現象)が現れ、指先に傷ができ、処置を誤ると皮膚潰瘍になってしまいます。
ただ、他に症状が増えることはなかったです。
まとめ
発症から6年間の経過をまとめます。
- 手荒れ、乾燥、皮膚と爪の間から出血
- 手がこわばる(皮膚硬化)
- 体力や身体能力が落ちた
- すぐに傷になり、治りが非常に遅い(皮膚潰瘍)
- 指先が白あるいは紫色に変色し感覚がなくなる(レイノー現象)
- 毛細血管拡張
- 逆流性食道炎
- 膜性腎症

発症5~6年以内に皮膚硬化の進行および内臓病変が出現してくると言われている強皮症ですが、私の場合も皮膚硬化の進行および内臓病変が見られました。入院したのは診断のための検査入院のときと膜性腎症の治療のための2回のみで、他の期間は家で通常の生活が送れていました。ただ、日々の生活の中で手が傷つかないように保護したり、症状や治療薬の副作用のために外見が変わってしまったりと、思い描いていた学生生活が送れたかと言われるとそうではありません。過ぎたことなので今現在嘆いているわけではありませんが、当時はつらいと感じる日もありました。予備知識があればショックも減らせますし、予防もできます。これから発症5~6年以内にあたる方の参考になることを祈っています。
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